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【独自取材】現役住宅営業マンに聞いた!値引きのリアルと見積書の見方

足場が組まれ構造材が組み上がった建築中の木造住宅。手前に製材された木材が積まれている

見積書を前にして、何を見ればいいのか分からない——家づくりでいちばん多い戸惑いかもしれません。金額は書いてある。でも、その金額が高いのか安いのか、何が入っていて何が入っていないのか、判断する手がかりがない。

そこで、現役の住宅営業マンに聞きました。 1人の方への取材なので「業界はこうだ」という話にはしません。代わりに、誰でも自分の見積書で確かめられる話だけを扱います。

価格そのものの仕組みは注文住宅の価格はなぜ下がりにくいのかに、総額の内訳と予算の決め方は費用相場と予算の決め方にまとめています。

値引きの3つの型を先に見る →

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※請求できる会社はサービスとお住まいのエリアによって異なります。

この記事に出てくる専門用語
  • 標準仕様:追加費用なしで家に入る設備や建材の内容。会社ごとに中身が違う
  • 標準仕様書:その標準仕様を一覧にした書類。見積書に添付されることがある
  • 本体価格:建物そのものの価格。付帯工事や諸費用は含まないことが多い
  • 付帯工事費:本体以外に必要な工事の費用。地盤改良や給排水の引き込みなど
  • 外構:建物の外まわり。駐車場、門・塀、庭、アプローチなど
  • 規格住宅(規格プラン):あらかじめ用意された間取りや仕様から選ぶ家
  • 自由設計:間取りや仕様を一から相談して決める家
  • 坪単価:1坪あたりの建築費。1坪は約3.3㎡(畳2枚ぶん)
  • クロージング:契約を決める最終段階の商談
  • 造成工事:土地の形や高さを整えて建てられる状態にする工事
  • 深基礎:高低差のある土地などで、基礎を通常より深く作る工法
  • 離隔距離:建物と隣地や道路などとの間にとる距離
  • UA値:熱が外へ逃げやすいかどうかを表す数値。小さいほど逃げにくい
  • C値:家の隙間の少なさを示す数値。小さいほど隙間が少ない
  • 耐震等級3:地震への強さの最高等級。建築基準法の1.5倍の強さ

今回、お話を聞いた住宅営業マン

住宅営業の経験は約6年。 主に扱ってきたのはミドルコストの価格帯で、規格住宅と自由設計の両方だそうです。

お名前・勤務先・地域は伏せます。 ご本人の希望で、「現役の住宅営業マン」としてのみご紹介します。

そのうえで、次の約束をしてお願いしました。

・特定の会社の商品名・工法・数値は聞かない
  → どのメーカーにも共通する話だけを伺う
・他社を実名で批判する話は扱わない
・記事にする前に原稿をお見せして、
  OKをいただいてから公開する

「ここを見れば会社の姿勢が分かる」という場所はどこでしょう?

返ってきたのは、金額の欄ではありませんでした。

見積書の本体価格に何が含まれているのか、それを明示した標準仕様書が添付されているか。ここが重要です。

住宅営業マン

標準仕様書というのは、「追加費用なしでこの家に入るもの」を一覧にした書類です。 サッシはどれか、断熱材は何をどれだけ使うか、キッチンはどのグレードか。これが付いていれば、本体価格が何を指しているのかを自分の目で確かめられます。

付いていない場合も、代わりの手がかりがあります。

標準仕様書がない場合は、坪単価に何が含まれているのか、見積書の仕様がどうなっているのかが明示されているかどうかが重要になります。

住宅営業マン

そして、中身が薄い見積書の行き先についても話がありました。

必要最低限の見積もりの場合、メーカーの仕様にもよりますが、先々メンテナンスがかかり、光熱費が高い家になります。

住宅営業マン

安い見積書が安い家とは限らない、ということです。 建てたあとの修繕費と光熱費で戻ってくる、という見方になります。

あなたが確かめる手順

① 見積書に標準仕様書が添付されているか見る
② 無ければ「標準仕様書はありますか」と聞く
③ それも無ければ、本体価格に何が
   含まれるかを書面でもらう

口頭の説明だけで済ませないことが大事です。 担当者が変わると引き継がれないことがあります。

「一式」と書かれていたら、何を聞けばいいでしょう?

見積書には「◯◯工事 一式」という行が並ぶことがあります。

メーカーの見積もりの出し方にもよりますが、金額だけではなく、その中身に何が含まれているのかをしっかり確認していただく必要があります。

住宅営業マン

シンプルですが、これが答えでした。 「一式」は金額をまとめただけの表記で、そこに何が入っているかは見積書からは読めません。

あなたが確かめる手順

「一式」の行を指して、
「ここには何と何が含まれますか」と聞く
→ 答えを書面かメールで残してもらう

「一式」が悪いわけではありません。 細かく分けると読みにくくなるので、まとめること自体は普通です。問題は、中身を聞かないまま比べてしまうことです。

値引きは、どんなふうに出てくるのでしょう?

この記事でいちばんお伝えしたいのがここです。 値引きの構造について、3つのパターンを挙げていただきました。

値引きの3つの型
型何が起きているか
① ふかし見積もり 通常の見積もり金額にあらかじめ上乗せして提示し、クロージングのときに乗せていた分を外して見せる
② 見積もり項目の削除 最初にオプションをたくさん組み込んで価格を高く見せ、クロージングで外して安く見せる
③ 見えない部分の値引き 見積もりの項目は変わらないのに、金額だけが下がる
  1. ① ふかし見積もり

    何が起きているか
    通常の見積もり金額にあらかじめ上乗せして提示し、クロージングのときに乗せていた分を外して見せる
  2. ② 見積もり項目の削除

    何が起きているか
    最初にオプションをたくさん組み込んで価格を高く見せ、クロージングで外して安く見せる
  3. ③ 見えない部分の値引き

    何が起きているか
    見積もりの項目は変わらないのに、金額だけが下がる

②について、こう補足がありました。

② 見積もり項目の削除について

これは実質的な値引きではありません。 ただ、項目や見積もりの内容をきちんとチェックしておかないと、お客様によっては「だいぶ値引いてくれた」と勘違いされます。実際、よくあります。

住宅営業マン

オプションを外して安くなったのなら、それは値引きではなく「買うものを減らした」ということです。 金額だけを見比べると、同じに見えてしまいます。

そして③が、いちばん気をつけたい型です。

③ 見えない部分の値引きについて

非常にいい値引きに見えますが、ご案内していない部分で値引きをしている恐れがあります。柱が細くなっていたり、断熱材が薄くなっていたり。

住宅営業マン

見積書の項目は変わらないのに金額だけ下がる。 一見いちばんうれしい形ですが、そうとは限らないということです。

当サイトはこれまで、会社を選ぶときにUA値・C値・耐震等級を確かめてくださいと繰り返し書いてきました。 この話を伺って、もうひとつ足りないことに気づきました。確かめた仕様が、値引きのあとも同じかどうかです。

提示された金額にどのようなものが含まれているのかをしっかり確認する必要があります。そして値引きがあった場合は、その中身が変わらないままの値引きになっているのかを確認してください。

住宅営業マン

あなたが確かめる手順

値引き後の見積書を受け取ったら
① 値引き前の見積書と並べる
② 項目の数と名前を突き合わせる
   → 減っていれば②の型
③ 金額だけ下がっていたら
   「仕様は変わっていませんか」と聞く
   → 柱の太さ・断熱材の厚み・
     サッシのグレードを名指しで確認

値引き前の見積書は必ず保管してください。 差し替えられると比べられなくなります。

なぜ、同じ坪単価でも中身が違うのでしょう?

メーカーによって大きく異なりますが、 坪単価は1坪(畳2畳分のスペース)あたりに含まれる価格のことです。建物にどれだけのコストがかかっているかで大きく変わります。会社によって異なるのは、建物の中身がまったく違うからです。

住宅営業マン

つまり、坪単価は「その会社の標準仕様の値段」です。 標準仕様が違えば、同じ坪単価でも別のものを買っていることになります。

価格帯ごとの傾向についても話がありましたが、ここは1人の見方として読んでください。

価格帯による違い

いわゆるローコストメーカーと言われる会社は中身があまりないため、契約後に、希望によってはかなり費用が増加します。

住宅営業マン

「ローコストは安物だ」という話ではありません。 標準仕様の範囲が狭いぶん、希望を足していくと金額が動きやすい、という構造の説明として読んでください。

値引きができる会社とできない会社の違いについても伺いました。

値引きができる会社とできない会社

値引きができない会社は、それなりに建物にかなり力を入れているメーカーが多いです。 開発コストにかなりの力を入れていて、建物の仕様そのものにいいものを使っているケースが非常に多い。災害にも強い建物もあったりします。

住宅営業マン

値引きに応じない会社が不親切とは限らない、という見方です。 これも1人の受け止めですが、「値引き幅の大きさで会社を選ばない」という判断材料にはなります。

付帯工事で、あとから効いてくるものは何でしょう?

付帯工事はどのメーカーもあまり変わらないと思いますが、土地によっては造成工事が出てきます。高低差がある場合は、離隔距離の取り方や深基礎施工の必要性なども出てきます。

住宅営業マン

いずれも土地の条件から来る費用です。 建物の見積書には最初から載っていないことがあります。

そして、会社を見る目線としてこう続きました。

メーカーによって基準が異なりますが、いかに安全性を考慮して案内をしてくれるのかがポイントです。

住宅営業マン

もうひとつ、時期の問題があります。

外構について

建物の配置が決まってから外構工事の打ち合わせを始めていきます。こだわればこだわるほど価格が上がってくるため、あとから効いてきます。

住宅営業マン

外構は、打ち合わせの順番として後ろに来ます。 そのため、建物の金額が固まったあとに、外構の金額が出てくることになります。

あなたが確かめる手順

土地が決まっているなら
① 「この土地で造成工事は要りますか」
② 「高低差があるので深基礎になりますか」
③ 「外構はいくらで見ていますか」
   → 「別途」なら概算をもらう

「今月中のご契約なら」は、どういう事情なのでしょう?

答えは率直なものでした。

事情という観点で言えば、単純に、会社として契約を取らないといけないというシンプルなものです。

住宅営業マン

そのうえで、損得についてはこう続きました。

値引き額が違うこともありますので、そのメーカーで建ててもいいと思っていらっしゃれば損はないかと思います。損か得という観点で、そのメーカーで建ててもいいというところまでしっかりと検討をされたかどうかが重要かと思います。

住宅営業マン

損か得かを分けるのは、検討がどこまで進んでいるかだ、という話です。 「急がされたから決める」ではなく、「この会社で建てていいと思えるところまで検討できているか」が先。そこが済んでいるなら、時期を合わせることに不利益はない、という見方でした。

なお「決算時期や代表者の誕生日で特別値引きがある」という話も出ましたが、これは1人の見聞なので、当サイトでは一般化しません。 そういう例もある、という程度に受け取ってください。

もし自分が家を建てるなら、何を重視しますか?

建物の中身、仕様にしっかりこだわってほしいです。 デザインや設備関係はどうとでもなりますが、中身については最初の段階でしか決められません。 ここにこだわることで、何十年と住む暮らしが変わってきます。

住宅営業マン

「あとから変えられるもの」と「最初にしか決められないもの」を分ける、という考え方です。

そして、これから家を建てる人へ伝えたいこと。

これから家を建てる人へ

地元の工務店からハウスメーカーまで、たくさんの住宅メーカーがあります。建物へのこだわりもあると思いますが、まずはその会社が、これから住んでいく中でつぶれない会社なのかどうかを、しっかり見極めてほしいです。

住宅営業マン

会社が続くかどうかは、当サイトでも工務店の倒産は本当に増えている?で公的データをもとに扱っています。

自分の見積書で確かめるリスト

この記事で出てきた確認事項をまとめます。

見積書を受け取ったら確かめること
場面確かめること
最初の見積書 標準仕様書が添付されているか。無ければ「ありますか」と聞き、それも無ければ本体価格に含まれるものを書面でもらう
「一式」の行 「ここには何と何が含まれますか」と聞き、答えを書面かメールで残す
土地が決まったら 造成工事・深基礎の要否、外構の概算。「別途」で終わらせない
値引きが出たら 値引き前の見積書と並べる。項目が減っていないか、仕様が変わっていないか(柱・断熱材・サッシ)
急かされたら 「この会社で建てていいと思えているか」が先。済んでいないなら急がない

この記事の限界

最後に、この記事で言えないことを書いておきます。

  1. これは1人の方への取材です。 「住宅営業は」「業界では」という一般化はしていません。別の方に聞けば違う話が出る可能性があります
  2. ご本人が「数字は正確でなくて構わない」と前置きされています。 回答中の数値を事実として扱っていません
  3. お話を伺った方が主に扱ってきたのはミドルコストの住宅です。 価格帯ごとの傾向は、その範囲からの見方になります
  4. 当サイトは個別の見積書について判断しません。 金額が妥当かどうかは、建築士や第三者機関にご相談ください

この記事は今後、複数の方にお話を伺って書き直す予定です。 人数が増えれば、1人の見方なのか業界に共通する話なのかを分けて書けるようになります。

本記事の作成方針:本記事は、現役の住宅営業1名への取材をもとに構成しています。取材相手のお名前・勤務先・地域は伺っておらず、「現役の住宅営業マン」としてのみ紹介しています。 特定の会社の商品名・工法・数値は扱っていません。他社を実名で批判する内容は含みません。 吹き出しの中の発言は、いただいた回答を読みやすく整えたものです。 話し言葉のままでは読みにくい箇所があるため、意味を変えない範囲で語順や表記を整え、脱字を補っています。話された言葉をそのまま並べたものではありません。 整えた原稿は公開前にご本人にお見せし、掲載の同意をいただいています。 回答者ご本人から「数字も正確でなくて構わない(だいたいで)」という前置きをいただいているため、回答中の数値・傾向を当サイトが事実として断定していません。 「住宅営業はこう考える」といった一般化は行っていません。 1名の見方であることを本文に明記しています。価格帯ごとの傾向についての回答は、取材相手が主にミドルコストの住宅を扱ってきた立場からの見方です。 「決算時期や代表者の誕生日で特別値引きがある」という回答は、1名の見聞であるため一般化していません。 当サイトは、個別の見積書の金額が妥当かどうかについての判断は行いません。 見積書の内容や金額については、建築士・住宅性能評価機関などの専門家にご相談ください。今後、複数の取材相手にお話を伺ったうえで本記事を更新する予定です。 更新の際は、1名の見方なのか複数に共通する話なのかを区別して記載します。

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